7月4日付でネギシ・マタハラ事件の上告棄却・上告不受理を決定。妊娠中の女性に対する解雇を認容する不当決定である!

去る7月4日付で、最高裁は、ネギシ・マタハラ事件の上告を棄却しました。3月4日に「上告申立理由書」を提出してからわずか4カ月での決定でした。この決定は、妊娠中の女性労働者に対する解雇を容認する不当決定であり、均等法9条4項を有名無実化するものです。

 均等法9条4項の存在意義はどこに?

 均等法9条4項「妊娠中・産後1年以内の解雇は「妊娠・出産等による解雇ではないことを事業主が証明しない限り無効となる」 が2006年新設された背景には、妊娠中の解雇が横行していたからです。

妊娠しても解雇の心配をせず、女性が、安心して働き、子育てができる環境を作るための法的整備でした。この法律の特徴は、ひとつには期間を定めて解雇を禁止していること。当該期間内の解雇を強く禁止しているということです。 

これは労働基準法19条「業務上災害による休業期間とその後30日間もしくは産前産後休業期間とその後日間の解雇禁止」についても同じです。 

もうひとつは、「解雇を無効とする法律効果が与えられているものを覆す立証が求められている。」つまり、労働契約法16条「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とする」の適用場面よりも一層高い立証が求められているということです。均等法9条4項は、違法な解雇が行われない「抑止力」として新設されたのです。

 ところが、最高裁は、わずか4か月という速さで上告棄却を決定しました。 一審ですら、解雇には当たらないとした事案に対し、二審では、会社が従業員を総動員して作ったシナリオを鵜呑みにし、均等法9条4項の存在意義を考えることもなく、形式的に上告人Aさんの解雇を有効とし、マタハラ解雇ではないという判決を出したのです。そして同じように最高裁も均等法9条4項の存在意義を考えることもなく、それを追認したのです。

このままでは、均等法9条4項が新設された意味がありません。 労評では、今回3月31日の最高裁上告報告集会を皮切りに、署名活動等の取り組みを行いましたが、これからという時点で、棄却されてしまいました。 

司法の反動化を許さず、継続して妊娠中の女性労働者を守り、解雇禁止の法律を定着させよう!

  労評はこのような司法の反動化を許すことなく、これからも継続して女性労働者が安心して働ける職場を目指し、職場で、街頭で運動を進めていきます。上告人Aさんも最高裁の決定があった後も、「自分の問題をきっかけに、マタハラについて考えてもらいたい」と運動を続けていく気持ちをしっかりと持っています。署名活動にご協力をいただいた方々、ありがとうございました。またこの問題に注目していただいた方々、これからも労評より発信を続けていきます。よろしくお願いします。 

日本労働評議会 マタハラ対策部

ひとりでも加盟できる労働組合『日本労働評議会』の中のマタハラ対策部です。 マタハラによる解雇問題を中心に女性労働者の権利を守るため取り組んでいます。 お気軽にご相談ください。

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